サマーセール2022が開催されました
2022年08月31日
8月22日から26日まで5日間にわたり、静内の北海道市場でHBAサマーセールが開催されました。
上場頭数が1千頭を超え開催される国内最大規模のサラブレッドセールで
過去に取引された馬の中からは国内外含めてG1競走を6勝しているモーリスが2012年の取引馬であることを筆頭に
最近では2019年に取引されたアランバローズなど多くの活躍馬がこのセールから輩出されています。
2022年サマーセール5日間の現地のリポートをお送りします。
8/22 1日目
上場番号1番から265番の中の255頭がこの日の上場馬。
初日は 朝から快晴。入場ゲートでは、新型コロナウィルス感染症対策として手の消毒と体温測定を実施。
購買者の数が目に見えて多く、場内を歩く人の中でも若い年代の方の姿が目立ちました。
購買登録者数は1,523名と、昨年の同セール登録者数1,376名を147名も上回り史上最高となりました。
きこえてくる落札者の中に新規の購買者の名前が聞こえてくるのも頷けます。
そのうち、オンラインビットの登録者数は103名です。
8時半から比較展示が6回に分かれて実施。
快晴の空の下、購買者たちはそれぞれ愛馬選びに余念がありません。
展示の後は1頭ずつ常足が披露されました。
12時から古川北海道市場長より開会の挨拶があり、順調にセリがスタートしました。
2番目に高額取引となったNO.140バーミスキャット2021 (父 ビッグアーサー)。
落札価格は24,750,000円でした。
午後から雲がかかってきましたがそれでも天気は上々。
せり上がりの声でも1000万台39頭と、勢いのあった一日でした。
夕方はセール会場内の人の数が少なくなりましたが、終い4頭が1000万超える落札と、
19時を超えても最後まで会場の熱が冷めることはありませんでした。
22日の最高落札額馬はNO.206のモルトフェリーチェ2021(父 ルーラーシップ)。
400万円のお台からせり上がり、26,400,000円でハンマーが下ろされました。
【1日目成績】
上場頭数 255頭 (牡152頭、牝103頭)
落札頭数 201頭 (牡125頭、牝76頭)
売却率 78.82% (牡87.24%、牝73.79%)
売却総額(税込) 1,424,280,000円(牡1,000,120,000円、牝424,160,000円)
平均価格(税込) 7,085,970円(牡8,000,960円、牝5,581,053円)
最高価格(税込) 26,400,000円
NO.206 モルトフェリーチェ2021 4/19生 牝
父 ルーラーシップ 母モルトフェリーチェ(母父ディープインパクト)
落札者 (株)ニッシンホールディングス
販売者 中田 英樹 氏
8/23 2日目
上場番号266番から528番の中の253頭が上場されました。
昨日とはちがい、早朝から生憎の天気。
幸い比較展示の際には雨足が弱くなったものの、一日雨に濡れる日となりました。
それでも購買者たちは用意された雨具を着て、熱心に上場馬を見て回っていました。
セールが始まる12時前にはいつもより多くの人が早くからセール会場内にスタンバイしていたのが目立ちましたが、
開始直後から活発な声が上がっていた事で単に雨宿りというわけではなかったことがわかります。
一頭目から25,850,000円で落札と、好調なスタートとなりました。
トップバッターの
NO.266カネショウメロン2021(父 デュラメンテ)
2日目は1000万円台が23頭、
2000万円台以上が10頭と、お天気とは反対に景気の良い一日となりました。
この日セールの最後まで会場内には狙った馬の出番を待つ多くの購買者の姿があったのが印象的です。
19時に終了。
日中は強弱を繰り返していた雨も、終了時には綺麗な夕焼けが見えました。
【2日目成績】
上場頭数 253頭 (牡135頭、牝118頭)
落札頭数 196頭 (牡110頭、牝86頭)
売却率 77.47% (牡81.48%、牝72.88%)
売却総額(税込) 1,394,690,000円(牡919,270,000円、牝475,420,000円)
平均価格(税込) 7,115,765円(牡8,357,000円、牝5,528,140円)
最高価格(税込) 40,700,000円
NO.371 ハイノリッジ2021 4/3生 牡
父 ミッキーアイル 母ハイノリッジ(母父 マンハッタンカフェ)
落札者 (株)カナヤマホールディングス
販売者 鮫川 啓一 氏
8/24 折り返し3日目
上場番号529番から788番の中から244頭の馬が出番です。
昨日とは変わって朝から快晴。涼しい風もあり過ごしやすい天気で人出も多くみられました。
比較展示も順調に行われましたが、この日は馬が体力余っている様子で元気な姿が目立ちました。
この日の2番目に高額落札となったのはNO.635 バンパークロップ2021(父 シャンハイボビー)39,600,000円
1000万台が35頭、2000万台以上が11頭いました。
ここまでに引き続きこの日も19時に終了しました。
【3日目成績】
上場頭数 244頭 (牡126頭、牝118頭)
落札頭数 194頭 (牡102頭、牝92頭)
売却率 79.51% (牡80.95%、牝77.97%)
売却総額(税込) 1,570,690,000円(牡986,810,000円、牝583,880,000円)
平均価格(税込) 8,096,340円(牡9,674,608円、牝6,346,522円)
最高価格(税込) 41,800,000円
NO.651 ファーゴ2021 5/23生 牡
父 マインドユアビスケッツ 母ファーゴ(母父 ハーツクライ)
落札者 松本 好雄 氏
販売者 岡田スタッド
8/25 4日目
上場番号789番から1042番までの中の247頭が上場です。
快晴の朝。
気温も上がりすぎず過ごしやすい気候となり
穏やかに比較展示が開始しました。
秋晴れの元、さわやかな雰囲気の中ではありましたがそれとは裏腹に
主取りが目立つ少々勢いのないスタート。
先行きが不安になるかと思いましたが再上場で売れる馬も多く、
ふたを開けてみてみれば1000万台が33頭、2000万台が6頭と
一日終えてみると76.52%の売却率と決して悪くない成績となりました。
この日は一番早く18時半に終了しました。
【4日目成績】
上場頭数 247頭 (牡128頭、牝119頭)
落札頭数 189頭 (牡102頭、牝87頭)
売却率 76.52% (牡79,69%、牝73.11%)
売却総額(税込) 1,380,280,000円(牡829,840,000円、牝550,440,000円)
平均価格(税込) 7,303,069円(牡8,135,686円、牝6,326,897円)
最高価格(税込) 31,900,000円
NO.976 アイライン2021 2/25生 牡
父 ヘニーヒューズ 母 アイライン(母父 ローレルゲレイロ)
落札者 了徳寺健二ホールディングス(株)
販売者 (有)アラキファーム
8/26 最終日
上場番号1043番から1293番の中から238頭が上場。
早朝に雨に見舞われたものの開場後には何とかまとまった雨に降られずに展示が進行していきました。
連日通り12時からセール開始。
来場者はここまでに比べ少なくみえたものの、せり上げの声は景気よく聞こえていました。
最終日の最高落札価格は24,200,000円で、同額で2頭の馬が該当する形になりました。
18時半前に終了しました。
【5日目成績】
上場頭数 238頭 (牡140頭、牝98頭)
落札頭数 178頭 (牡110頭、牝68頭)
売却率 74,79% (牡78,57%、牝69,39%)
売却総額(税込) 1,254,770,000円(牡875,160,000円、牝379,610,000円)
平均価格(税込) 7,049,270円(牡7,956,000円、牝5,582,500円)
最高価格(税込) 24,200,000円
NO.1095 ジュデッカ2021 5/10生 牡
父 エピファネイア 母 ジュデッカ(母父 ディープインパクト)
落札者 古賀 和夫 氏
販売者 (有)宮内牧場
NO.1181 プラージュ2021 5/10生 牡
父 サンダースノー 母 プラージュ(母父 スペシャルウィーク)
落札者 (株)キャピタル・システム
販売者 (株)ハシモトファーム
【現地メモ】
5日の開催の間、市場内では
サラブレッドセールのブランディングに合わせた高級車の出店があるなど
コロナ流行前の時のような活気が戻っていました。
上場馬たちが待機している馬房を訪ねていると
年々、北海道でも夏の気温が上昇しているのもあり
馬房の窓に扇風機を取り付ける牧場やコンサイナーが増えています。
目隠しのカーテンを取り付け、馬の性格に合わせて落ち着かせるなど
生産者やコンサイナーが手塩にかけた愛馬たちにそれぞれの工夫を凝らしているのが興味深いです。
生産者による手作りの上場馬紹介カードが微笑ましい。
セール会場で耳慣れない話があり、
とあるコンサイナーを訪問してみました。
最新機械によって施術するスキンリフティングといわれるもの。
セール上場前に施すことによって、訓練等によって緊張した筋、狭くなった可動域を元に戻し、リラックス効果を与え、フケや抜け毛もきれいに取り除かれるのでその馬のパフォーマンスを戻すコンディショニングなのだそうです。
通常は人間用に実用化されているもので、それを馬に応用するとは馬産地ならでは。
しかも施術しているのは地元の柔道整復師というから驚きです。
上場馬すべてに高額取引の可能性があるセールであることは
昨今の売却率・売却総額がレコード続きであることが証明していますので
自然と販売申込者の力が入るのも納得です。
これから馬産地でも導入がスタンダードになっていくのでしょうか。
5日間のサマーセールを終え、古川市場長はインタビューで
「購買者がセリで馬を購入するという楽しみを感じて頂けるような試みをしているのも好成績の結果につながってきていると思う。
こうした試みであったり、コロナ渦であっても馬券の売り上げが好調で、厩舎や馬主に還元され、様々な要因が追い風となり最終的に馬産地に還元されている。」
シニスターミニスターやシャンハイボビー産駒に人気があった質問を受け、
「2024年に地方競馬のダート3冠がスタートするのも日高に多いダート種牡馬の人気に拍車をかけ、いい繁殖が集まることでセリにも今後さらに好影響が現れるのではないかと期待している」と話しました。
【5日間総合成績】
購買登録者数 1,523名(内、オンライン103名)
上場頭数 1,237頭 (牡681頭、牝556頭)
落札頭数 958頭 (牡549頭、牝409頭)
売却率 77,45% (牡80,62%、牝73,56%)
売却総額(税込) 7,024,710,000円(牡4,611,200,000円、牝2,413,510,000円)
平均価格(税込) 7,332,683円(牡8,339,271円、牝5,901,002円)
最高価格(税込) 41,800,000円
NO.651 ファーゴ2021 5/23生 牡
父 マインドユアビスケッツ 母ファーゴ(母父 ハーツクライ)
落札者 松本 好雄 氏
販売者 岡田スタッド
99頭の馬にオンラインからビットが入り、オンラインで落札された馬は27頭でした。
大盛況に終わった今年のサマーセール。
来月9/20から9/22はHBAセプテンバーセールが開催されます。
詳細は主催者ホームページをご覧ください。https://www.hba.or.jp/
最終日の注目馬に沢山の報道関係者が集まりました。
静内農業高校生産馬NO.1210マドリガルスコア2021(父 アニマルキングダム)は(有)ミルファームが落札。過去2番目に高い7,700,000円での取引になり、馬産地に刺激を与えました。
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